箱庭/石瀬琳々
 
「目をこらしてごらんなさい
 この世界はふわふわ漂っている
 箱庭なのです」


風が草の中でささやいている
透明な壁の向こうで
見知らぬ風景がふるるとゆれた
君はそっと魔法の呪文を唱える
すると天窓から雲が流れ
遠くはるかな星々の輝きも見えてくる


草の中はあたたかくて
僕たちはどこまでも漂っていける
やがて時さえも忘れる
二人だけの時間が
ソーダ水のようにはじけて
静かに泡立ち続けるように


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