しわくちゃの坂道/ふもと 鈴
年をとった少年に
地色のベッド・シーツをかぶせ
漫画本を半分ひらき、祈り そのまたひかりに
身を焚いている
白におもねる瞳はなくて、まんまるのはしを
一生懸命にのばしている
混沌、しがらみの創造に 一役買った近似値を
先端が太陽と
オレンジ色にぶつかってしまう
年をとっても、なんでも
なんでもかんでも同じにしかみえないのは
映画の中の生活があるから。
本棚がたわみ、埃がたち、ソファに寝転がっているうちに
時間が、半分くわれている
画面のチラツキに動物の名前を思い出して、
はしゃいで海へと思いついても
実際のところ、天側から走る姿はない
一年に一回だから、秘
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