オミナエシ/Etuji
掟は高い塀のむこうで眠っている
周辺を傲慢がはびころうとする
横断歩道で信号機はたがいに孤立し
おたがいの過去をたずねようとはしない
信号機は信号機の宿命のまま
明滅している
オミナエシが咲いている
窓のなかでは
後悔がいまも神の首を絞め続けている
存在は信号機のもとでゆれる空をみあげ
生まれくるときの約束を思い出せないでいる
オミナエシが咲いている
街のなかのショーウィンドーのなかに
故郷をみることはできなかった
それでもあなたと過ごした月日は
むだではなかったのだ
真実よりも
なによりも
あなたのいることが大切だった
ま
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