彼が君ではない/里欣
 
蝶が周りに舞っている
無限に螺旋の形が描かれ続く、ゆらゆらと。

 君が、共に歩いた海辺の青空を何回言及しながら、わたしの血を何回も吸った。空色。

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 朝二時半、英語科の貴公子・靖平と肩を組んで、大学のダンスパーティへ。国立吉林大学の体育館のはずなのに、荘園みたいな大門の外に、大勢がすでに列を作っていた。門が開いた。手をつなぐ時に、若い艶麗先生が振向いた。複雑な一瞥。靖平が私の肩を重く抱えた手で、群れを押しやった。また手をつなぐ。前へ歩いていくとだれかが踊っている。焚火、太鼓、川。「見て、ゴッホだ、ゴッホが踊っている」靖平が黙ったまま、私の手を離さずに近づける。モンゴルの
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