琴の音(ね)/星月冬灯
 

 琴の音色は清くて儚い

 わたしの心に響いてくるその音は

 かなしみの音に似ている

 いたみはどうして伝わるのか

 せつなさはどうして生ずるのか


 さびしさの中に琴の音は有る

 くるしくても、やるせなくても、

 うそうそとしていても

 夜の闇に存在する

 その音が混ざり合って調和を生む

 うつくしくもつめたい調和を


 やさしさもあたたかさもない

 この世界では真の音色が聞こえない

 きえてしまったのか

 なくしてしまったのか


 それは誰も知らない

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