二重星季節 玉座/
木立 悟
うなじは短く鳴りつづけ
鎖骨は緑を流しつづけた
中洲には旧いうたがあり
雨に映り増えてゆく
たしかに手わたされながら
ずっと忘れられてきた
欠けた双子の物語
ひとりの姫の物語
まぼろし
涸れ川にかかる橋
わずかにかがやき流れる呼び声
砂の上に降りつづく雪
蛇の言葉でできた冠
ひとりの枯れ野
ひとりの玉座
愛しいもの等の骨に添われた
うしろ姿の少女の王国
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