ある日のデッサン(2)/かんな
さびしさにかられては二人称にあなたを選んだ、そんなときから、後ろを向けばあなたがいつもいるような、まぼろしをみせられていました。雲が光をさえぎったような天気の下では、誰しもが悲しくも、切ないような思いを抱えると見せかけては黙っている。
過去を謙遜などしているから今もきちんと見れないのです、などと偉そうに説いてみた未来のわたしは、一輪車にも乗れない不器用な女の子でした、でした。バランスの悪いシンメトリーのように天秤にかけられてはかたむく、そんな月曜の午前2時。
鍵をなくしたジュエリーボックスの中に入っていた、忘れ形見のようなブローチを、場違いのように右胸につけてみました、あなたのため
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