牢獄/星月冬灯
 

 詩(うた)を失った少年は窓のない部屋の中

 暖かさのない石の牢獄

 朝になろうとも夜になろうとも

 刻(とき)の止まった空間では何も存在しない


 クレイジーな気分だ

 心がハイになる瞬間

 神は傍にいる

 鉄格子の外から手を伸ばしている

 
 闇の中にある小さな自分

 恐れるものは何もないのに

 なぜ震えている?


 喜劇は悲劇

 悲しさも笑いにかわる

 意味のないおかしさに


 冷たい牢獄に囚われの我が身

 捨てきれぬ夢

 情愛の面影


 瞳は闇を突き刺す鋭さを持ち

 コツコツと歩く

 髭もじゃの看守を睨む


 見えない空を見上げて

 少年は口ずさむ

 古の詩を


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