僕は世界に旗を掲げる/たりぽん(大理 奔)
 

  雨ではないのに
  降りそそいだりこぼれ落ちる
  でも、そんなふうに
  濡らしはしない

無関心ではいられないのに
すり抜けていく言葉
かぜにはこびあげられて
雨になるには重すぎる
それが僕

  町を見下ろす放牧場で
  できるだけ高く
  世界に白い旗を掲げる
  何色でもない旗を

  風が吹いてゆく
  渡り鳥が帰って行く
  口笛を吹く
  草を飛ばす 
  できる限り
  とおく、遠く 
  だけど

だけれども



戻る   Point(9)