ひかりの海/ホロウ・シカエルボク
 



とおくの海岸線を見つめた
とおくの海岸線には
数え切れないほどのひかりがあって
まるで
とおい海の上に
もうひとつの
ひかりの海があるみたいで
きみは
そのまんなかで
あおむけに浮かんでいて
太陽のまんなかを見てる、まぶしくないのか、とぼくは問う
「まぶしくない」と、きみは答える
「わたしにはもう五感はないもの」もう五感がない
モウゴカンガナイ
かなしげなぼくを見て、きみはかんたんに笑う、それが
ぼくが今のきみについて考えてることのすべてだって
すぐに、判ったからだ
ひかりの海は、とぼくは声をからしながら聞く、ひかりの海に浮力はあるの
「ないわ」とき
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