ありがとう/かんな
 
あなたでした。

(のほほんとした真昼のじかん)

小雨のようにぽつりと呟いて、砂利道を手をつないで歩いてくれたのも

(ありがとう、がかいま見えたけれど)

そうやって森のようにひっそりと見守ってくれたのも

(なんだか照れくさくてみえて)

あなたでした。


(かさぶたがはがれてしまうように)

緑の葉も黄色くなり茶色くなり土に変わる

(きもちが傷つくことはあるけれど)

雨のしずくのひとつひとつは水たまりに変われるけれど

(夜空にかみなりがおしよせるように、心が曇ってしまうこともあるけれど)

そんなこぼれそうになった涙を抑えればいつか
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