カランダッシュと電波/木屋 亞万
世界を感じる旅に出た知己から、手紙が届いた。
写真が一枚同封されていて、白い息を吐く馬と白眉を垂らして笑う彼がいた。
手紙の文末には「君が好きそうな響きを見つけたので、一緒におくります」と書かれていた。
封筒をひっくり返すと、鉛筆が一本転がり出てきて
「カランダッシュ=魔法の鉛筆」というメモが貼られていた。
手始めに私は感謝の念を込めながら、彼の写真の模写をした。
ルーズリーフに広がる彼と馬、少し間延びした顔になってしまった。
カランダッシュとつぶやいてみる。雪国の人のように、あまり口を開かないようにして、もう一度。
カランダッシュには不思議な力があるようで、風景や静物ばか
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