橋の上の人/おるふぇ
 
として
はじめて存在するかのような
わたしになりたい
ぼろきれであっても
男にできるのは
女を守ることだけだと
粗末にしていた米粒ですら
訴え掛けている
不幸の谷を渡るなら
わたしが橋になってみせよう

心にまとわりつく分厚いベール
見えなくなる自分自身
血の重さ
苦しみの紅さ
幻の鮮やかさ
記憶との距離
ナイフの固さと鋭さ
それを見ている自分
近くにはいない自分
誰が自分なのか
言葉を持たない自分
永遠に自分なのか
疑問と定理
滅び
分離症
遊びましょう

気怠い夏の午後が終わる
長編小説一冊分の徒労という名のコーヒーを飲む
苦みが食道
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