夜中、夜中/捨て彦
 
ばらばらに散らばっていた いろんな言葉が
ひょんな瞬間体に まとわりついてくるんだけど
でも
知らない女の舌が
僕の肌をすっと すべっただけで
またそれはすぐに ばらばらになって消えてしまう

キンキンに冷えた薄暗い部屋の中。

午前過ぎ、
街の夜なんてのは、
タクシーやら中年のゲロやらにまみれて 
地面に這いつくばっているのが お似合いだと思う。

別の夜

眠っているあなたの背中の
ミシン目に沿ってハサミを入れる
けれども、
( 気になっているのは あなたではなくて、
隣の席に座っている 既婚の女の人なのだよ

その日はまた、
レイトショーに間に
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