馬の骨/佳代子
何処の馬の骨かわからない者 と 言われ
慌てて手のひらを見た
それから 大鏡の前に立って全身を見た
私はまだ馬の骨を見たことがなかったから
これは凄い発見だと思った
「何処」も付いている
日本なのか
外国なのか
品種もわからないほどだから
よほど珍しいに違いない
しかし 「何処」というのは
はたして、場所なのか・・・
いや もしかしたら、部分かもしれない
だとしたら、もっとおもしろい!
大腿部の骨が喋ってるのかもしれないし
あばら骨がこうして思考してるのかもしれない
ああ おなかが空いたなぁ
なにしろ 食欲の秋だからね
天高く そしてこの骨にも肉は付くのだろうか
だめ だめ
そうなったら骨が希薄になってしまう
冗談じゃない!
希少価値なんだぜ
何処の馬の骨かわからない者 と
口走った瞬間の脳の中には
私の全身が入っていたのだろうか
丸顔が馬面になったレントゲン写真だったり・・・
アート系の映画監督か
構造主義者になって
絵解きのように考えてみようか
秋の夜は長いからね
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