図書館の恋/ミズタマ
私たちは秘密の恋をしているから
今、この左右の本棚たちが倒れて私たちに襲いかかってきても
文句はいえぬ
指と指をわずかにからませ
古ぼけた本のカバーが少し破けて
顔を見合わせて、笑う
もうすぐ、閉館
窓の外から、見ているのは月
本と一緒にあなたのことも
借りて帰りたい
あのメインカウンターで
あなたに貸し出しカードを貼って貰おうか
「期限はありません。」
そして高らかにうたおうか
わたしのこの唇や、このつま先や、若さが
あなたとともに在ることを
もうすぐ、閉館
あと5分で魔法も解ける
戻る 編 削 Point(3)