色鮮やかなパンジー/詩集ただよう
も目を開けずにいたら、呑んでいるホームレスに笑われてるのに気付いて、微かに瞼を上げた。そこにもう老人はいなかった。恥ずかしさから瞼を上げたわけでもなかったから、胸は撫でおろせなかった。それでも、さっきよりも好きなだけ、壊れきらないプラスチックを踏みつけた。
黒や金が散り散りになったICチップとグレーのフォルムの破片の上で、母さんの誕生日プレゼントだったはずの石鹸セットと押花の絵葉書を詰め込んだ紙袋に、顔を埋めて震えていると、老人が一瞬通ったけれど、何も笑わずに離れていった。
なあじじい携帯いるか!僕が笑い叫ぶと、彼は手の甲を軽く振りながら去っていった。
帰りにセブンイレブンでビニル傘と湿布を買った。湯上がりのふくらはぎに湿布を貼って、すぐベッドに倒れた。割に寝つきは悪かった。僕はいつも痙攣している。
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