時間をさがす間に コーヒーが腐った/パラソル
現代の時間を
顕微鏡で見てみようとしたが、
とてもだめだった。
ミジンコがうつってるだけだった。
おれは白い服を着て
学生に無視されるのが仕事だ
黒板からまいあがる、チョークの粉で
顔をまっ白にするのが仕事だ
機会があったら食事にネコイラズを入れたい教授どもの
飲み会に付き合ってぜつぼうするのが仕事だ
ミジンコや顕微鏡や、ほこりだらけの本棚や、
生徒が少なくなった校内や、どこかの世界から、
「現代の時間」をひっぱりだす、
いや、だそうとする、
のが仕事だ。
それはタンスからTシャツをとりだすように簡単じゃない。
Tシャツなんてとっくの昔に失った。
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