東京の街路樹/吉岡ペペロ
 
東京の街路樹では

幾種類ものセミが鳴いていた

夏の時が豊か、だった


品川プリンスの坂をあがる

湿ったアスファルトの匂い

木々のひんやりとした匂い

いまからきみに逢いにゆく


東京の街路樹では

幾種類ものセミが鳴いていた

夏の影が豊か、だった


いまからきみに逢いにゆく

さよならできなかったから

どんな純情ぶらさげてけば

僕らは正しくなるのだろう


東京の街路樹では

幾種類ものセミが鳴いていた

夏の時が豊か、だった
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