二重星季節 新章/木立 悟
こぼれている
こぼれつづける
言葉と色と器と音は
同じものとしてまだらにかがやく
晶に銀に水銀に
金に鉛に緑にかがやく
窓から舌の音がする
終わりのない透明に目をふせ
終わりのなさを舐め取っている
音の雨が音の柱を
静かに静かに押しつづけている
葉の裏 曇の火
虫の羽のにおいたち
見え隠れする雨の卵
孵れ 孵れ
楕円の地に
悲しみに
波と流れをもたらせ
風に吹き寄せられるものがかがやき
窓はずっとざらついている
時間を負わない平衡の
片目ふたつ分の明るさが
星のようにあなたをまわり
あなたの朝とあなたの昼
あなたの夜を受けとめてゆく
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