夜の帳に/短角牛
 
待ち侘びて

胸に入り切らぬもの

恋しくて

枕もとで眠る人

やすらかに渦巻いて

裸足の夏 思い出し

しなやかな 君の記憶たどる


たとえ明日の明日が十年前の昨日でも


満たされて

内側から張り出して

微笑んで

腹式にて微笑んで

もう忘れた悲しさも

それ乗り越える痛みも

今は空に溶けて


さようなら さようなら

いつか求めた鉄人よ

おおらかな おだやかな

愚かな優しき人になろう。
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