ベンチプレス/
よーかん
ずウォーキングマシンのモーターの音が全速力で唸っている。まだ誰にも見向きもされないまま走りつづけているのがあの足音で分かる。それもいいのかもしれない。あのまま走り続ければいい。ああゆう若者は、間違ってもブルーのレオタードを身に着けて鏡の中の自分に笑顔を向けたりしないのだから。あのままでいてくれていい。須川正作はそう思うことに決めて、息を吐きながらベンチプレスマシンのハンドルを、またユックリと押し戻した。
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