盆地の田/ブライアン
 
同級生の彼女が死んでしまった、次の次の日だった。僕らは彼女の葬式のため、彼女の家へ向かった。彼女の両親が仏前で、笑って出迎えてくれた。僕らは一同そろって、その前に坐った。順番に彼女への線香をあげた。線香をあげ終えると、僕らはしゃべるための言葉を探して、黙り込んだ。みんなが線香をあげた。両親は僕らに向直った。深く、頭を下げて、ありがとう、と言った。その時、僕らは皆気がついた。みんな、泣いてしまうんじゃないかって事を。仏前から経を読む声が聞こえる。木魚のポンポン、と鳴るリズムが聞こえる。泣いてしまうんだ、と。僕らは皆、誰もが絶対に泣くまい、と彼女の家の玄関を跨いでいたのに。鼻をすする音が響いた。いや、
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