街の横顔/草野春心
 


  「懐かしい」なんて
  野暮は今さら言わないけれど



  どんな時でも仏頂面で
  懸命に君は見ていたね
  かたくなな街の横顔を



  雑居ビルの落書きも
  嘘八百のラブ・アンド・ピースも
  美しいとは思いませんか?



  問いかけた僕の言葉は
  君のからだをすり抜けて
  何処へ行ってしまったのだろう?



  互いの横顔を盗み合いながら
  ひとびとの生きざまは
  どうしようもなく虚しく見えた
  そんなことばかり覚えている



  「いつかまた」なんて
  野暮は今さら言わないけれど


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