川面/
八布
川の流れに人生を重ねるほど
僕は傲慢ではないので
ただここでこうして
せせらぎに耳をすましているだけ
どこから来て どこへ行くのかなんて
考えるのはよそう
流れというなら僕の中にも
立派な流れが流れている
僕は自分の心臓について考える
律儀な僕の中心
僕の最も強い主張のことを
向こう岸の霞んだビルから
風が渡ってくる
形をもたない自由さが
水面の光を散らかしている
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