ストレス・フリー/渡 ひろこ
 
地の底の歌を聴き

暗がりの言葉をまさぐり

ざわめく井戸端をなぎたおし

しどけなく横たわる絹のストールを引き裂き

ヒリヒリと苛立つ昨日を脱ぎ捨て

ゆがんだ唇を真っ赤に塗りつぶし

したたかな欲望にためらわず身をゆだね

うたかたの慕情を噛み砕き

熔けだす想いをテイサイという鋳型にそそぎ

バリバリとはがれ落ちる銀色のメッキをかき集め

それらを束ねふり上げて

ひとおもいに

まっさらなディスプレーに殴(ぶ)つければ…








きっとわたしもストレス・フリー






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