薔薇/AKiHiCo
在ると信じていた絆は
最初からなかったと告げられた
僕だけが独りで踊っていただけなんだ
受け入れて欲しいと
人間として扱って欲しいと
託すのはいけない事なのだろうか
それでも僕は
愛されていたい――
記憶の一頁
黒い瞳をしたあの人は微笑んでいた
それだけで僕は嬉しい
差し出したティーカップを受け取り
ゆっくり啜る姿はまるで薔薇
愛しています、____
部屋に拡がる香りは気分を酔わせ
気付けば頬擦りをしていた
同じ色をした肌には温もりが在った
バレないようにそっと頬に口付け
したけれどきっと見抜かれていただろう
記憶の一頁
庭の手入れを任されたので
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