リーチ/佐々木妖精
まったくもって
困ってしまったと
呟いた声はかき消される
待ち合わせしているというのに
未定と予定がごっつんこだ
確変が終わらない
最低の男だという意識が
同時に変動する
隣の老人に譲り
すぐにでも駆けつけたいのだが
だって確変じゃないか
時間つぶしのごくつぶし
到底そしりを免れない
確変が止まらない
電車内で席を譲るか迷った揚句
降りるはずじゃなかった駅で降りる男だ
迷っているうちに
終点を告げるアナウンスが流れてくれることを
祈っている
走り去る車窓から
目の前の老人がその席に
腰かけてくれるのを期待するように
うつむいて座っている
確
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