時と夜/
木立 悟
る
川に捨てられた氷の山
針のかたちに溶け残る
骨の塔は蒼の近くに
さまざまな色を聴いて立ち
見つめることなく発することなく
響きを内にくりかえしている
とても良く似たふたつの日記を
数十年のまばたきが隔てている
父よ 毎日会っていたのに
あなたには遂に会えなかった
何かが屋根を去る音がして
水の流れる音がはじまる
たくさんの色 たくさんの針
海に空にたどりつく
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