ラグーン/ふるる
 
夜はさみしさをたたえる水面
しずかに腕をひたして
あてどない動きにさらされていた

夜がひそかに身体をゆすると
いつしか私もゆれていて
抱きしめあった記憶が
手のひらからあふれた

いつか二人で見たラグーン
海から生まれた塩湖
蒼く
宝石のように大地に抱きとめられていた

(そんなふうに抱きとめられたのは、いつ)

思い出はどこまでも透き通っていく
ラグーン
海の記憶を持っている
それは蒼い涙
いない人をいつまでも想い続ける

月が白いまぶたを閉じると
まぼろしのあなたは
昨日よりもたよりない微笑で私を誘う
遠く知らない国へ
もう
あなたへの道
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