カリカチュア・『シンメトリカルアトラス』/しろう
朝焼けが
虹彩から奥を焼く
明らかな
明日に
確信が持てないから
夜を
終わらせずに
朝焼けの夜を
産んだ
ここは
降りる駅を寝過ごしてしまった
風景に似ている
生まれた日の
記憶みたいに
うすぼんやりとした
苦しみ
と
違和感
ルービックキューブは
ひとつの面も染められぬまま
本棚の奥で
苛立っている
字引を
めくっても
あの文字が
見あたらない
一番最初のページに
赤い傍線を添えて
おいたのに
誰が
破り捨てた?
身体が
西に傾いてる
消しゴムの
カスのように
ひねりあげられた
時間を
切り刻
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