夏夜/
こゆり
むせ返る
暑風に運ばれる
火薬の
あの夏のにおいが
けむたくて
目を伏せてしまいそうなほど
短い季節の
そのページがまぶしくて
栞もはさまず
本をとじた
夏の
暗空に舞い上がり
はじけ散った光の粒
頭上では
けむりだけが
跡を残し
夜の
提燈のあかり
並ぶ屋台から
運ばれてくる
こおばしいにおい
浴衣姿
君の声
麻酔のように
感覚を失い
ふたたび
深い眠りに沈む
この季節に
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