ホットミルク日和のゆったりとした空気の中で/詩集ただよう
昨日、彼女が逝った
家族に看取られ、布団の中で
彼女は少しうねるクセ毛の似合う女の子だった
名前は今じゃもうイニシャルしか思い出せない
K・Y
彼女はいつも名前を省略して、そう、物に書く癖があった
だから、今でもそれだけははっきりと思い出せる
Kはおそらく遅刻した
遅刻で怒るなんて、あとから考えると勿体のないことだ
私はそれに気付いていたから、遅刻してもしなくても怒ることはなかった
だからKが遅刻したかどうかは覚えていない
それでも、Kが遅刻したんだろうと私が思うのは、昼の公園で一人、季節外れのセミの声を聴いていた記憶が今でも残っているからだ
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