ピエタに寄り添う/セルフレーム
お礼に、私が作った木製のロザリオを叔父にあげたのです」
「叔父は死ぬ時、ロザリオの在り処を教えてくださいました。
いつでも好きなときに取りに行きなさいと・・・
それから、もう12年も経ってしまいました」
私は、何も言わなかった。
旅人は、ピエタの方に歩いてきた。
それから、こう言った。
「でもこのマリア様のお顔を見たら・・・
叔父のロザリオは此処に在ったほうがいいと思ったのです。
もう、いいのです。
私のロザリオも叔父のロザリオも、此処に置いて行きますね」
「十字架の精様、ありがとうございました」
気付いたかしら?
私は、この教会の十字架。
でも私の下で貴方に会ったとき、
言い忘れてた事があったわ。
私は、十字架の精じゃなくて、十字架にとりついたシスターよ。
初代の神父さまの傍に居たシスター。
もともと身体が弱くって、病気で死んだの。
ピエタに寄り添うようにして。
だから、今でも此処に居るわ。
この教会が好きなのよ。
ピエタに寄り添う
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