珈琲と紅茶/
小禽
珈琲を飲むとスッとする
読み終えたばかりの分厚い本の背表紙を撫でながら
浮かび始めた著者の思いを身体から逃がすように
ズッと音をたてて珈琲をすする
紅茶を飲むとほっとする
薄い湯気の中に誰かの影が見えて、女らしい涙が浮かぶ
それを隠すように紅茶を口にする
ティーカップに口紅が付かないように配慮して
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