腐乱屍体/長谷川智子
 


細胞の一つ一つまで見たくなる
ちりぢりにほころんだその一部を
手にとる

たしかに死んでいる
外側はくすんだサーモンピンクに近い
端に至っては白く生気を失っている

水から引き揚げたそれは
もとあった船底にいたプランクトンも
食べたのだろう

本体は探したが見つからない
かすかな光が射す青緑色の中の
どこかにいるはずだ



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