空と魚/木立 悟
音の陰の音たち
ゆうるりと振り向く
何もない場所に
署名はかがやく
落ちそうな首を片手で支え
どうにか眠り
どうにか覚める
音を見るたび さらに傾く
丸い紙やすりが
触れるものもなく鳴っている
曇の魚がひとり 空を覆い
考えないように考えないように泳ぎつづける
水を吐きながら
空の終わりを記しながら
何も考えていないはずなのに
憎しみばかり 悲しみばかり在り響く
おまえはそこを出ることはない
おまえはただそこにいていい
おまえはそこで焼かれてゆく
おまえはおまえのまま炭になる
また消してしまった
また
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