黄色い檻/アオイリョーキ
 

隣の人はいなくなっていた
その人も、私と同じで黄色に染まってしまったか
ここからの逃げ方を学んで
とびたっていった
どこから?

黄色をずっとみつめている
いつからかわからない
たぶん、一人でいる事とみんなといる事の境目が
曖昧になってしまってからだ

私が細かく振動している気がする
もうすぐ生まれる気がする
もうすぐ散るような気がする
もうすぐ飛べそうな気がする
もうすぐ溶けるような気がする
もうすぐ誰かも分からなくなるような気がする
もう実は全部そうかもしれない
全部一緒かもしれない
黄色の中で
生まれて散って飛んで溶ける
そして
誰かもわからなくなるのだ

格子のない檻の中で
手を伸ばせば何かに触れるかもしれない
けれど私の手は
もう私には見えないから
もうこのまま
自分が誰かも分からなくなるまで待って、
この黄色に溶けきるまで待って、

きっとその頃には
作り終えられていて

そう
ここは最後の心臓
ここからとびたつくらいなら
溶けてしまった方が
いくぶんも、幸せだ
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