盲目の夏/皆月 零胤
て
強い光で僕の目を少しずつ焼き
僕の視力を奪い続ける
コールタールみたいな夜の海で
船を沈めようとする歌声を聴いた
それは昔聴き覚えのあるもので
朝がくるまで歌はやまなかった
患者にだすよりも強い睡眠薬を飲んでも
少しだけしか眠ることができずに
いつもサイレンの音を聴いた気がして
浅い夢から連れ戻されて朝を迎える
朝日の光は無色で透明だったけど
この頃は茶色い朝ばかり続いている
あの頃の夏の太陽の替わりにきっと
誰かが別のものを打ち上げたのだろう
昔は海賊をやっていた
この海には僕の船も沈んでいる
睡眠薬が完全には抜けきっていないせいか
まだ意識が朦朧としていた
変わった夢を見たような気がしたが
どんな夢かは思い出すことができなかった
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