街の住人/ブライアン
思い浮かぶのは、熱が反射する道の景色だけだ。一日が熱に溢れている。記念日が連続すればいい。連綿と続く記憶のように。忘れることを強いてもなお、忘れることができない生活の一部になるように。歩く動作のように、考えるように。暗闇の猫の瞳のように。
重力を感じない日はなかった。山に囲まれた土地に育った。いつも山が見ていた。束縛していた。この地に足をつけさせた。飛び立つことはできない。青空を羨むことはなかった。鳥もまた山に帰るのだ。山から逃げることなど考えもしなかった。
だが、アスファルトは固すぎる。重力を反射する。山は遠く、その巨大な力は及ばない。空は、ビルに遮られているばかりだ。山のように鳥の
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