夏の日/紫音
 
ミが
目玉焼きになって
夢の中に現われて
名前すら呼べなかったのは

なぜだろう

もう
覚えていない
キミの名前


どろどろのキミは
どくどくと脈打って
とろとろのキミは
あつあつの目玉焼きで



白い皿の上の
目玉焼き

ぐちゃぐちゃにして
絵を描けば

なんとなく憂鬱な
この今という時間を
箪笥の防虫剤くらいに
気にしなくて済むだろう




ぐちゃぐちゃにして
絵を描けば




洗い物という後悔が
微笑んでいる







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