夜の鉄路/石瀬琳々
何もかも徒労だったと誰が知る
心がはぐれそうな夜は
ただあてもなく歩くのが世のならい
街の灯りがあんなに遠い
くたびれた足で石を蹴り上げると
どこか見知らぬ闇に呑み込まれていった
ここはどこだろう
行き場をなくした野良猫のようだ
闇にうずくまったまま
独り目を光らせ爪をとがらせる
ここには誰もいない
風だけが道連れの夜の鉄路だ
どこかへと続いている 星々のように
冷たい鉄路に耳をあてると
音がする かすかに響くあれは
明日の音だ 逃げても無駄だと知る
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