つぎはぎだらけのオニオンパイ/カンチェルスキス
つぎはぎだらけのオニオンパイ
心に何もなくても 白紙があるから 散乱しても
おもちゃの劇のように 一晩かけて作ったおもちゃのお城を壊すだけ
這いつくばった地面のひび割れとともに 白線を無性に生きる
ボルトからはじまる 夜の組み立て 夜を組み立ててゆく
倒れた缶ビールの軽さ 痛み
首まわりが吸いついて離れない安っぽいTシャツ
衝撃は幾たびも塗り潰された
ひとまず浴びたシャワーの後で 四時半くらいまでここに座っていよう
四時半くらいまでここに座っていよう ぼんやりと世界が見える
海の中で目を開けたときの視界みたいに
太陽に焼かれ逆上する線路の石
無言劇のようにあふれてくる時間の滞空
まるで純度の低い液体のような 重油の漏れた海に映った虹の落ち度
それまで日向だった場所が影になる瞬間を目撃すること 楔を打つ
ベンチは誰かが座るためにある
誰かに座ってもらわなきゃ死んでいるベンチ
洪水で海まで投げ出された
不快指数のドアを開けて
物体として死にゆく
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