からだのおと/nonya
<髪>
額にかかる倦怠を
耳元でうねる躊躇を
きっぱりかきあげて君は
さらさらと綺麗に笑った
<目>
ホントを見過ごしてしまったり
ウソを見破れなかったり
粗忽な精密レンズは
たびたび僕を楽しませてくれる
<口>
生き長らえるために食み
生き抜くために吸い
生き残るために発し
生きさらばえるために吐く
<手>
仄かな熱を握り締めて
柔らかな起伏を読み取って
千切れそうな糸を振り払って
溢れ出す昨日を塞き止めようとして
<胸>
ときどき空洞かと思われるその
[次のページ]
戻る 編 削 Point(8)