風のつくりかた/佐々宝砂
どうしてこう
脈絡がついてしまうのだろうか
昨日みた夢は
いまはもうない実家の建物が舞台で
ベランダに猫が三匹いた
うわあおぎゃあうわああああ
この家の主人は病気かいと訊ねれば
うわあおぎゃあうわああああ
瓦屋根のうえにはびこるアケビの蔦
脈絡なく見えてもつながっているのだ
残念ながら
ハサミでもカッターナイフでも
ナタでも出刃包丁でも切れない
この脈絡を断ち切ってくれ
と猫に頼んでも無理だわな
ましてこれは夢のなかだしな
めざめればあまりにも暑い
でも
誰でも風をつくることができる
ウチワで
ファンで
あるいは焚き火で
さてさて庭の草に火をつけよう
脈絡が断ち切れないものなら
全部焼き払おう
すると温められた空気は上昇し
上方の冷えた空気は下降し
局所的ながら
風すなわち空気の移動が生じ
脈絡つきの熱風が
私の髪を揺らす
それでも、ねえ
私は断言する
私が運命を知らないように
運命は私を知らない
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