水のための夜/あおば
 

サルビアの種を見ないふりして垣根の縁にまき散らす
運が良ければ芽が出て茎が伸びて花が咲き
だれかの目につくこともあるだろう
そもそも種の袋ごと
我が家の郵便受けに投げ込まれたときから
こうなることは覚悟していたのだから
一切の苦情は受け付けないつもりですが
もし
この暑い夏を乗り切ることが出来たら
またどこかでお会いいたしましょう

無責任の塊が咲かせた花を眺めどこまでも
沈んでゆきたいと思うこともありますので




初出 「poenique」の「即興ゴルコンダ」タイトルは嘉村奈緒さん


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