すぎるあそび/木立 悟
意味さえ知らず
触れては消える
水のなかへ
音のなかへ
一滴一滴
光は変わりつづけている
抄うともなく抄う指先
常に既に異なるふちどり
鉱の音が響いている
どこかにずれたままに在り
かみあうことのないふたつのものから
そのままにそのままにとどいている
散らばる色と光と音を
幾つかの糸くずが漂っている
散らばりへ 散らばりへ
たどり着くことなく還りつづける
鳥も雨も去り
光の少ない曇が残る
すっと
指の跡が鳴る
軋轢が虹を追い越し
水のない水色を娶っている
騒がしく渇く祝宴
親族は水辺を見ない
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