夏の始まり/蜜柑
 
冷たい冷気と共に食欲という甘い匂いが漏れだしてきた

冷蔵庫の中にはぎゅうぎゅうに喜び、怒り、悲しみと一緒にお菓子が詰めてある
静かに瞳を閉じる

私はこの瞬間が一番好きだ
足が震え、雲の上から
真っ逆さまに落ちていく

最後には海に投げ出された体は激しく海面に打ち付けられて
ぶよぶよとした私の体は深く深く沈んでいく

ふと目を開けると
冷蔵庫から冷気と、雛鳥が餌を欲しがるようにピーピー鳴いていた

そして返事をする様に

ぎゅるりと私の腹の虫が鳴いた

今日も暑くなりそうだ



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