私達は炭酸水の泡のように/
小禽
私達は炭酸水の泡のように
ぷつぷつとガラス瓶の底から立ち上ってゆく泡のように
生まれてすぐに吸い上げられるように駆け
天辺を転がって弾けてしまう
たまに大きなのがいたり
派手に弾けるのもあるが
大抵は皆小さく、透明でまるっこい
どぼんと氷を落とすと
無数の泡が戦争にいった人々の命のように
しゅわしゅわと音をたて弾ける
放っておかれた炭酸水は口にすると水でなく
抜けきれなかった泡が舌の上で小さく弾け
少し機械的に匂って消える
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