ポケット/
望月 ゆき
退屈をにぎりしめて
おもてへ出た
そぞろ歩きのアーケード
レモンの駅のホーム
まわるバスターミナル
あと3日で実が落ちるびわの木
ドアの前についた時
にぎりしめていた退屈は
どこかに落としてきたようで
かわりにポケットで
何かざわついている
手のひらにのせると
それは
ころころと笑ったり
さめざめ泣いたりと
いそがしい
ポケットの恋に
まだ名前はない
あなたの名前をつけよう
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